
7月30日付の日経新聞Webサイトにこんな記事が出ていた。
カルビー白黒ポテチの誤算、消えた「おいしそう」 色が映す購買心理
Web版ではお決まりの有料配信記事だが、要点はこうだ。
- ナフサ不足によるインク節約のため、5月中旬からカルビーがポテトチップスなどの商品を「白黒パッケージ」化した。
- 商品の安定供給を守るための「企業の神対応」などとして大きく話題にもなり、売上も一時的に急増した。
- ところが、ここ最近の販売金額は4週連続で減少したとのこと。
- 色やシズル感(食欲をそそる写真)が失われたことや商品が見つけにくくなっていることが理由らしい。
まあそりゃあそうだろう。
そこまでしなければならないほど足りないんだったら、他のメーカーも追随したはずなのにそうはしなかったんだから。
ドンキあたりはちゃっかりとイメージ戦略に乗って、さらに価格も下げて新商品化したけどね。

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ところで欧米人はどう思ってる?
画期的なデザインと言えばそうだけど、日本人が見たって美味しそうじゃないんだから、いま押し寄せている「インバウンド」の皆さんの目にはどう映っているんだろうか?
欧米の色彩感覚や食文化の歴史を調べてみると、あの白黒ポテチは彼らにとって「お話にならないほどマズそう」あるいは「恐怖の袋」に見えていた可能性がある。
かつて欧米人が「海苔の黒」を不気味と嫌った理由
今や世界中で大人気の「寿司」であるが、1960〜70年代にアメリカに進出した当初、欧米人は巻物に使われる「海苔」を激しく嫌悪していた。
理由は、海苔の「真っ黒」な色にある。
人間の脳は、自然界に少ない「青」や「黒」の食べ物を「毒」や「腐敗」のサインとして本能的に警戒するらしい。さらに欧米には海藻をシート状にして食べる文化がなかったため、艶のある黒い海苔は「カーボン紙」や「プラスチックの破片」のような工業製品、あるいは「海のゴミ」に見え、不気味で仕方がなかったのだという。
この「黒い壁」を乗り越えるために、海苔を内側に隠した「カリフォルニアロール(裏巻き)」が考案されたことは有名な話。
欧米人にとって「白黒の食品」はNG?
この「黒への警戒心」を踏まえて、今回のカルビーの白黒パッケージを見てみよう。
パッケージには写真も何もなく、すべて白黒で表現されている。
日本語の文脈(インク不足のニュース)を知らない外国人がこれを見たらどう思うのだろうか。「焦げている」「カビが生えている」「炭の味がする」といった、直感的なマズさを連想したとしても不思議ではない。特に、かっぱえびせんの「海老」はダメそう。
さらに、欧米のスーパーにおいて「極端にシンプルな白黒のパッケージ」は、以下の2つの強烈なイメージを持っているということだ。
- 「Generic Brand(中身は最底辺の超格安品)」
- 「毒劇物や薬品(殺虫剤や漂白剤などの警告色)」
つまり彼らにとってあの袋は、「美味しそう・まずそう」の次元を通り越し、「食品ではない危険なもの」に見えていた危険性があるのだ。
「色」で味を判断する文化の壁
もう一つの問題は、欧米ではポテトチップスの「味」と「パッケージの色」が日本以上にガチガチに固定化されている点だ。彼らは文字を読まずに、感覚的に「青=塩味」「緑=サワークリーム味」と色で判断して買い物をすることが多い。
ただでさえ日本語が読めないインバウンドにとって、売り場に並ぶ「全面白黒の袋」は、「何味かもわからない恐怖のロシアンルーレット」でしかないだろう。これでは、どれだけカルビーのポテチが美味しくても、湖池屋など他のメーカーの商品に手が伸びてしまうよね。
「表だけカラー」への切り替えが意味すること
先の日経の記事では最後に、原材料の調達に目処が立ったため、8月からパッケージの表側のみカラーに戻すことを決定したと書かれている。早速、近所のスーパーで確認してみたが、まだ白黒バージョンしか無かったから、これから並び始めることだろう。
これは、国内での「買い間違い対策」としてはもちろんなのだが、日本のスナック菓子好きなインバウンド需要に対して「日本のポテチは安全で美味しいよ!」と直感的に伝えるための決断だとも言えるんだろうけれども、もう少し早く決断して欲しかったなあ。
最近は若い頃ほどポテトチップやかっぱえびせんを買わなくなったが、今回の白黒パッケージは記念に買ってみた。そういう人の需要も少しはあったのでは。
でも、どうしても食品としてふさわしい色ではないよなあ。
※この内容はあくまでも個人の想像であり、実際に欧米人がどう思っているかを調査したわけではありません。
